コラム・調査レポート

2025.10.30

食品

味はすき好き、みんな大好き「すき焼き」

 気温が下がり、家庭の食卓に鍋の季節がやってきた。すき焼きも例外ではない。日経POSで「すき焼き用割り下」の販売動向をみると、例年10月中旬ごろから売上げが伸び始めるようだ。11月下旬あたりに最低気温(東京)が10度を下回ると本格シーズンインとなり、年末年始に向けてさらに勢いを増していく。
味はすき好き、みんな大好き「すき焼き」
■関東風と関西風、2つのすき焼き
 すき焼きには地域による調理法の違いがあることが広く知られている。関東では割り下を煮立てて具材を入れる、関西では牛肉を焼いてから砂糖と醤油、もしくは割り下をからめる作り方が主流とされている。かつて関東地域では「牛鍋」と呼ばれていたが、大正12年の関東大震災後、牛鍋屋の大量閉店をきっかけに関西の「すき焼き」が広まった。現在の関東エリアでも東京の老舗店を例にとると関東、関西、2つの作り方が混在しているようだ。

■地域ならではの味は地元メーカーにおまかせ
 スーパーに並ぶ「すき焼き用割り下」からも地域の味の違いが見えてくる。2024年12月の地域別データをみると、エバラ「すき焼きのたれ」は東日本では通常版、西日本は「すき焼きのたれ マイルド」がメインで流通している。
味はすき好き、みんな大好き「すき焼き」
味はすき好き、みんな大好き「すき焼き」
 パッケージを見てみると通常版では「鰹節仕立て、香る醤油」と醤油の味を、マイルドでは「本みりん仕立て豊かなコク」と甘味やコクをそれぞれ前面に出している。
 地域別ランキングに目を向けてみると、東北で「ワダカン」、九州では「フンドーキン」など地元メーカーの健闘がみられる。また首都圏では「今半」、中京では「木曽路」など、地元の老舗店が商品名にある商品も人気を集めていた。

■年末年始の2大肉料理
 過去5年間のデータをみると12月の「すき焼き用割り下」は全国的に好調だが、地域によっては「焼き肉のたれ」が上回る。焼き肉が優勢なのは北海道、東北、中国、四国、九州。一方、北陸、中京、首都圏ではすき焼き人気が根強く、年末年始のご馳走として定着しているようだ。商品別ランキングをみてみると、北海道ではベル「成吉思汗のたれ」が上位となっており、地域性の強さを感じさせる。

 お雑煮やおせちと同じく、すき焼きも家庭ごとの味と作り方があり、ほかの家庭の味を知る機会が少ない料理だ。市販の「すき焼き用割り下」を通じて、知らない土地の味を試してみるのもたまには面白いかもしれない。
味はすき好き、みんな大好き「すき焼き」

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