コラム・調査レポート

2025.08.1

食品

みなさ~ん、何が好き? 健康おやつよりもドー・ナッ・ツ
―ドーナツ人気に見る「おいしさ重視」の消費傾向―

 「ドーナツ」が好調だ。大分類「菓子パン・蒸しパン」の「ドーナツ」、大分類「駄菓子」の「袋入りドーナツ」は、いずれも2023年以降、売上額・数量ともに上昇傾向が続いている。コロナ禍で健康志向が高まった反動か、2023年5月に5類感染症に移行するなど日常を取り戻していく中でカロリーなどを気にせず「やっぱり好きなものを食べたい」という欲求が消費を後押ししたようだ。2025年6月も千人当たり個数は前年比16%増と、暑い時期でも衰えない勢いに人気の根強さがうかがえる。
みなさ~ん、何が好き? 健康おやつよりもドー・ナッ・ツ<BR> ―ドーナツ人気に見る「おいしさ重視」の消費傾向―
 全国の商品別ランキングをみてみると、2025年6月は上位10商品が山崎製パン、敷島製パン、フジパンと、大手の商品のみとなっている。山崎製パン「ミルクドーナツ」、敷島製パン「こしあんどーなつ」は特に好調で、千人当り個数が前年を2割程度上回っている。フジパン「生どーなつ はちみつ」も徐々に店舗カバー率を上げ2025年6月は前年の7.7倍程度の売り上げとなった。生クリームを練りこんだしっとりとした生地と、サイズの大きさが人気のようだ。
 地域別にみると、地元メーカーの健闘が目立つ。北海道は「ロバパン」「日糧製パン」、東北では岩手県「白石食品工業」、首都圏は「木村屋」の商品が上位にランクインしている。近畿はほとんどの期間で、山崎製パン「牛乳仕込みのミルクチュロッキー」が1位となっている。また中国、九州エリアでは福岡県のリョーユーパン「マンハッタン」が1位となっている。50年以上愛されてきたご当地ドーナツで、硬めの生地が特徴だ。西日本ではしっかりとした食感のドーナツが好まれるようである。
 「袋入りドーナツ」は保存性の高さを背景に、主要メーカーの製品が全国へと広がっている。なかでも丸中製菓の「キングドーナツ」は、10地域中7地域で売上1位を獲得するなど、圧倒的な強さを見せている。

 カロリー高めのお菓子代表である「スナック菓子」「チョコレート」なども堅調で、特に「スナック菓子」は金額ベースで2023年から大きく伸長し好調が続いている。この時期に「美味しさ重視」の消費行動へと変容したことがうかがえる。
みなさ~ん、何が好き? 健康おやつよりもドー・ナッ・ツ<BR> ―ドーナツ人気に見る「おいしさ重視」の消費傾向―
 一方で、ヘルシー志向のおやつが忘れられてしまったわけではない。いまや定番となった「ドライフルーツ」や「干しいも」も堅調を維持している。とくに「干しいも」は食物繊維や炭水化物を豊富に含み、腹持ちがよいことから筋トレをする層からの支持も厚く、注目度が高まっているカテゴリーである。
みなさ~ん、何が好き? 健康おやつよりもドー・ナッ・ツ<BR> ―ドーナツ人気に見る「おいしさ重視」の消費傾向―
 「ドーナツ」の好調からは、健康を意識しつつも“好きなものを食べる満足感”を大切にする、いまの消費者の姿が浮かび上がる。心が求める食べ物も上手に取り入れながら、無理なく健やかな日々を過ごしていきたい。
みなさ~ん、何が好き? 健康おやつよりもドー・ナッ・ツ<BR> ―ドーナツ人気に見る「おいしさ重視」の消費傾向―

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