コラム・調査レポート

2025.08.22

食品

「暑すぎて カレーでさえも 食べられん??」
~国民食のいまをデータで探る~

 日本の国民食ともいえるカレーに変化が訪れているようだ。日経POSで直近5年間のスーパーでの売り上げをみてみると、2023年以降「カレールー」の千人当り個数は減少傾向にある。千人当り金額は平均価格の上昇により維持されているものの、数量ベースでは明らかに陰りが見える。価格高騰、夏期の最高気温(東京)が33℃を超えるような猛暑がこの時期に始まったことも影響している可能性がある。辛口カレーの勢いも弱い。ハウス食品の「ジャワカレー 辛口」は今年6、7月、前年までと異なりベスト5に食い込めなかった。2025年6月20日の「ぐるなびリサーチ部 調査レポート」では激辛料理を食べたくなる平均気温は28.4℃とある。それを大きく上回る近年の猛暑は、スパイシーな料理に手が伸びにくくなっている一因かもしれない。
「暑すぎて カレーでさえも 食べられん??」<BR>~国民食のいまをデータで探る~
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■地方色はトッピングで:全国で変わらぬ定番の味

 商品別にみてみるとハウス食品「バーモントカレー」シリーズが不動の首位となっている。2025年7月は甘口が1位となったが、年間を通じては中辛が首位となることが多い。地域別でみても全国的に支持を集め、北海道を除く各地域では上位2商品を「バーモントカレー」が占める。長野県では竹輪が定番の具であったり、東北では付け合わせに福神漬けを特に好んだりと、具やトッピングに地域色はあるものの、家庭で作るカレーそのものに大きな地域差はないようだ。

■「カレールー」の新定番となるか:フレークタイプ

 一方で、「カレールー」の新たな定番として注目されるのがフレークタイプの商品だ。エバラ食品「横濱舶来亭カレーフレーク」は、固形ルーの売れ行きが伸び悩むなかでも堅調を維持している。溶けやすさや量の調整のしやすさに加え、カレー以外の料理にも応用しやすく、油分控えめでさっぱりしている点も評価されているようだ。

■「レトルトカレー」が担う役割
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 苦戦を強いられているのは「レトルトカレー」も同じようだ。コンビニエンスストアの数値をみてもスーパーと同様に好調とは言い難い。しかしレトルトタイプに求められることは「カレールー」とは異なるようで、商品別ランキングを見てみると興味深い。
 2025年7月のスーパーのデータを見てみると、具がないソースタイプのハウス食品「プロクオリティ カレー」が上位10商品に3つランクインしている。価格の手頃さに加えて、アレンジの自由度の高さで支持を集めている。また、ご当地カレーを手軽に楽しめる事もレトルトタイプの利点のようで、地域別ランキングを見てみると北海道では五島軒「函館カレー」、北陸ではゴーゴーカレー「ゴーゴーカレー」、四国では日本食研「食研カレー」、九州では響「佐賀黒毛和牛カレー」などが上位に名を連ねている。

 家庭料理の定番は、調理の手間、健康意識や暑さへの感度など、環境やライフスタイルの変化にあわせて選ばれる商品は少しずつ移り変わっている。カレーの進化と変化に今後も注視していきたい。
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