コラム・調査レポート

2017.11.6

食品

「ポッキー&プリッツの日」 プリッツ逆襲なるか?

 11月には文化の日、勤労感謝の日と国が定めた“記念日”があるが、もうひとつ江崎グリコが定めて日本記念日協会の認定を受けた記念日が11日の「ポッキー&プリッツの日」。ポッキーとプリッツのスティック状の形が数字の「1」に似ていることから平成11年11月11日にスタートし、今年で早くも19年目だ。
 スーパーでは今年も店舗独自の売り場づくりがスタートしている。そのほかにも、江崎グリコは毎年この日に向けSNS活用を中心とした消費者参加型のキャンペーンを企画し、さらなる売上拡大を目指している。これらの戦略が功を奏してか、この記念日を含む週のポッキーやプリッツの売れ行きは毎年順調に増加している。
 日経POSデータで「ポッキー」「プリッツ」と名のつく商品をカテゴライズし、データを見てみた。11月11日を含む週とその前週の上位10商品について、千人当たり金額の合計を3ヵ年で比較すると、2014年は前週(11月3日~9日)が1493.59円、11日を含む週(11月10日~16日)が1687.38円、2015年は前週(11月2日~8日)が1661.68円、11日を含む週(11月9日~15日)が2539.21円、そして昨年2016年は前週(10月31日~6日)が1551.51円で11日を含む週(11月7日~13日)が2852.82円だった。当日や直前直後の購入が多く、記念日の前週から11日を含む週にかけて売り上げが大きく伸びる。さらに、11日を含む週は、3年連続で千人当たり金額が増加しており、記念日の定着化と拡大化がうかがえる。
 ちなみに、2014年以降のデータを見ると、11日を含む週の上位10商品に、プリッツシリーズは1、2商品しか入っていない。日経テレコンでメディアの露出を検索すると、本来は「ポッキー&プリッツの日」だが、11月11日を「ポッキーの日」とポッキー単体で取り上げている記事が多く、プリッツは忘れられがちだ。そんな中、2016年11月に江崎グリコは、逆手に取った新たな施策を打ち出した。「つらい!」というプリッツの気持ちを特設ページや新聞広告に掲載、SNSで発信したのだ。同社の狙いは当たり、定番商品である「グリコ プリッツ サラダ 69G」の同時期の千人当たり金額は、2014年に110.65円、2015年は116.60円であったが、2016年には153.25円と大きく飛躍した。自虐ネタが消費者の共感を生み、売上増につながったようだ。
 今年の11月11日は土曜日。家族や仲間と外出先でポッキー&プリッツを楽しむ人も多いだろう。ポッキーVSプリッツの戦いが気になるところだが、このような“記念日ビジネス”の拡大に今後も注目していきたい。

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