コラム・調査レポート
2024.05.15
食品
「もっちり」で厚揚げ好調 【データで考える食感】
「生揚げ・厚揚げ(絹)」が好調だ。日経POS EYESでの全スーパー分類を見てみると、2024年3月には千人当り金額が1,917.7円で前年同月比17%増、個数も17.9個で14%増と大きく伸長。4月も堅調をキープした。
豆腐と同じく、厚揚げでも木綿より絹ごしが人気だが、その傾向にさらに追い風となっている商品がある。相模屋食料(前橋市)の「焼いておいしい絹厚揚げ」(JAN: 4974168300370)だ。直近5年の期間、首位をキープし続けている定番商品だ。2024年3月の千人当り金額は422.6円で前年同月比21%増、個数も4.11個で22%増と好調。4月も金額で前年比15%増えた。
中分類ではもちろん大分類「豆腐・豆腐製品」の中でも1位とカテゴリー全体の売上げ増に貢献している。
中分類ではもちろん大分類「豆腐・豆腐製品」の中でも1位とカテゴリー全体の売上げ増に貢献している。
とろり、もっちりとした食感が好評で購買層を広げており、SNSでも煮たり焼いたり、電子レンジを利用した簡単レシピも紹介されている。同商品は現在のところ東日本を中心に販売しており、特に東北での支持が厚い。
一方、2024年4月の「生揚げ・厚揚げ(絹)」2位、やまみ「濃厚仕立て もっちりやわらか絹厚あげ」(JAN:4979475022236)は西日本を中心に販売されている。
こちらも3月は千人当り金額が188.2円で前年同月比10%増。4月も前年比6%増、個数も1.9個で3%増と好調だ。「焼いておいしい絹厚揚げ」と同じくこちらも、もっちりした食感で人気のようだ。その他、上位10商品のラインナップを見ると「もっちり」(もちもち)をうたう商品が並ぶ。従来のしっかりと歯応えのある厚揚げのイメージとは異なる食感のものが人気を集めているといえる。厚揚げにおける「もっちり」は多くの消費者にとっては魅力的なワードのようだ。
2024年4月 ABCランキング「生揚げ・厚揚げ(絹)」
「物価の優等生」としてだけの存在感ではなく、美味しさという付加価値を高めてきた「豆腐・豆腐製品」。輸入大豆の価格高止まりなどによる原価率の上昇で苦境の最中ではあるが、今後も各メーカーの工夫と売り上げ動向に注視していきたい。