コラム・調査レポート

2021.11.25

食品

秋の到来とともに西日本から全国へ「おいも蒸しまん」

 「まんじゅう」市場が好調だ。まんじゅうの来店客千人当たり販売金額をみると、2020年3月に1833.3円と前年同月比0.7%増となって以降、前年比プラスが続き、2021年10月も2060.6円(同8.4%増)と好調を維持している。
 まんじゅう市場は、長い間、敷島製パン「パスコ なごやん 5個」や山崎製パン「黒糖まん 1個」などの定番商品が上位を占めていたが、あわしま堂「おいも蒸しまん 2個」が2021年9月に来店客千人当たり販売金額190.4円でトップに立つと、10月も2位以下に大差をつけて首位をキープしている。
秋の到来とともに西日本から全国へ「おいも蒸しまん」
 同商品は中に餡が入っておらず、生地に混ぜ込んだ角切りさつまいもが見た目にも味にもアクセントとなっている。2021年4月に発売された当初は近畿から西日本エリア(沖縄を除く)のみでの販売だったが、9月から首都圏など東日本エリア(北海道を除く)へと販路を拡大した。カバー率でみると7月は17.4%だったが、8月には30.6%、9月は48.2%へと急上昇している。あわしま堂は「サツマイモの季節である秋のシーズンインに合わせて、
発売当初の西日本での好調な売り上げ実績を示しながらの小売りへの売り込みが成功した」とみている。
 売り上げ増に伴いSNSの投稿数も増加した。もちもちした食感、やさしい甘さが評価されると同時に、ヘルシーなおやつとして重宝しているといった投稿が多く並ぶ。メーカーからの発信もあり、レンジで温めてバターを乗せるなどのアレンジレシピも楽しまれている。
 データをさかのぼると、2020年5月~12月にあわしま堂「おいも蒸しまん 1個」の販売実績がある。あわしま堂によると「売り上げが伸びず一度販売を中止した。その後、商品の様子が見えるよう、自社直売所で使用していた透明の2個入り容器にパッケージを変更したところ、売り上げが増えた」という。
 「おいも蒸しまん」は、商品の見せ方、販路拡大のタイミングなど、企業のアイデアとこれまでに培ったマーケット感覚が売上増につながった好例である。

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