コラム・調査レポート

2025.05.9

食品

プレーンヨーグルトの“ネクストステージ”
──「もっちり」「濃厚」が切り開く新しい道

プレーンヨーグルトの“ネクストステージ”<BR> ──「もっちり」「濃厚」が切り開く新しい道
 日々の健康を支える「プレーンヨーグルト」は2025年4月の千人当たり個数が46個で前年同月比8%増と、値上げラッシュが続く中でも安定した需要を保つカテゴリーだ。2020年5月~2021年4月と直近の12カ月間で比較すると、千人当たり金額は22%増、平均価格も15%増となり、2022年以降の段階的な値上げが数値に反映されている。価格上昇の影響が大きいことは間違いないが、商品別ランキングを見れば、それ以上の変化が読み取れる。高価格帯ヨーグルトの台頭である。
プレーンヨーグルトの“ネクストステージ”<BR> ──「もっちり」「濃厚」が切り開く新しい道

 2025年4月の商品別ランキングには大きく分けて3つの価格帯が存在する。主力は100gあたり約40円の手ごろな価格帯の商品で、売上シェアの中心を占めている。しかし、直近1年で伸びが目立つのは、100gあたり約60~70円の商品、100gあたり90円以上の中・高価格帯の商品だ。平均価格の上昇は、単なる値上げの結果ではなく、「高くても売れる商品」が確実に増えていることを示しているようだ。

■共通点は「もっちり」「濃厚」

 注目すべきは、100gあたり90円以上の商品群の成長ぶりである。同じ時期に売上が大きく伸びた商品が複数登場している。いずれの商品も訴求ポイントとして「もっちり」「濃厚」といった食感や質感に関するワードが共通していることに注目したい。

プレーンヨーグルトの“ネクストステージ”<BR> ──「もっちり」「濃厚」が切り開く新しい道

 8位の森永乳業「パルテノ 濃密ギリシャヨーグルト プレーン100g」は100gあたり142.9円と上位10位中価格が最も高い商品だが、2024年に入り販売が急伸。「濃厚かつクリーミー」という特徴が人気を支えている。10位のYUDAミルク「プレミアム湯田ヨーグルト 800g」(100gあたり94円)は、2021年12月に日経POSに初登場し、2024年3月に10位以内となりその後も右肩上がりの好調となっている。パウチ型のパッケージと「もっちり、すっきり」のコピーが印象的な商品だ。
 中価格帯には定番ブランドから新商品が登場し、存在感を示している。9位の明治「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン HOME MADE STORY 400g」(100gあたり59円)は主力の同社「ブルガリアヨーグルト」に比べ「濃厚なコク」が特徴となっており、2024年4月の発売以来、常に上位にランクインしている。

■「もっちり」「濃厚」が人気の背景は?

 背景の一つとして考えられるのは、韓国発スイーツの影響だ。水切りヨーグルトにフルーツなどをのせた「グリークヨーグルト」は、日本でも2024年以降、専門店の展開が始まっている。この流れを受けて、SNSで「自家製グリークヨーグルト」の投稿も増え、日経テレコンの「新聞トレンド」機能を使って言葉の出現数をみても2024年4月以降に明確な増加がみられる。
 さらには、あの大谷翔平選手の影響もありそうだ。2023年のインタビューで「世界一だと思っています」と語った岩泉ホールディングス「岩泉ヨーグルト」(100gあたり74円)は、TV番組でも取り上げられ、2023年秋以降に売上が急伸。現在10位圏外ではあるが、低温長時間発酵による「もちもち感」が消費者の心をつかんでいるようだ。

 長年にわたる健康食品の定番ヨーグルトは、「もちもち」「濃厚」といった新たな魅力を手に入れ、デザートという新たな立ち位置を確立し始めている。その進化は、「食べ方の多様化」や「日本人好みの食感」といったキーワードとともに、今後ほかのカテゴリーの参考となっていく可能性が十分にありそうだ。変化の芽に今後も注視していきたい。

プレーンヨーグルトの“ネクストステージ”<BR> ──「もっちり」「濃厚」が切り開く新しい道

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