コラム・調査レポート

2024.09.5

食品

2024年夏・猛暑戦線異変あり?

 今年の夏も暑かった。日経POSのデータでみると7月は東京の平均最高気温33.4℃(平年差+3.6)、8月も33.5℃(平年差+2.2)と、酷暑と呼ぶにふさわしい2カ月となった。しかし、熱中症対策の必需品「ペットボトル入りスポーツ飲料」の8月の千人当り金額がスーパーでは6,453.6円で前年同月比14%減、コンビニエンスストアでは4,919.5円(関東)で11%減となっていた。このカテゴリーのほとんどを占めるのがアイソトニック飲料だが、吸水速度と保水作用を高めるため0.1~0.2%程度の塩分、約4~6%程度の糖分で調整されている。効果は抜群だが、夏期は甘さ控えめでさっぱりした食品が好まれる傾向があり、猛暑下では不利に働いたのかもしれない。
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 また、暑い日に食べたくなるはずの「レギュラーアイス」も、8月の千人当り金額は前年同月比1%増だが個数で見ると3%減と、気温の高さの割に売り上げが大きく伸びない一カ月となった。
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 その一方、塩分タブレット(小分類「錠菓」に含まれる)は好調で、8月のスーパーで最も売り上げの高かったカバヤ食品「塩分チャージタブレッツ(81グラム)」は、千人当り金額363.6円で前年同月比9%増であった。ブランド全体の売り上げを見ると(下記グラフ)、直近3年間は伸長し続け、熱中症対策の定番商品としての地位を順調に築いていることが見てとれる。軽量・小型で携帯しやすく、好みの飲料と合わせいつでも熱中症対策ができる手軽さが評価されているようだ。
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 気温や消費者のニーズにより変化の兆しを見せる暑さ・熱中症対策だが、消費者はその他も様々に工夫しているようだ。
 「冷凍果実」は8月の千人当り金額が前年比52%増。売り上げのピークは例年7~8月だが、平均価格上昇の影響がありつつも直近5年間は伸長し続けているカテゴリーだ。名称をみると上位10商品のうち8つがブルーベリーで、ヨーグルトのトッピングの他、シャーベット代わりに食べる、飲み物の氷代わりにするなど、冷たくて美しい上に美容・健康にもいいと好評のようだ。前年比24%増の「その他常温クールデザート・ケーキ」では、スティックタイプのシャーベットであるリボン「果汁100%フローズンシャーベット」が好調の立役者となっている。果汁100%であること、片手で簡単に食べられ量も程よいとアイス代わりに選ぶ消費者が増えているようだ。大手通信販売サービスでも一時品切れになるなど、人気のほどがうかがえる。

 8月も終わり、スーパーやコンビニエンスストアの棚に秋らしい商品が目立ち始めた。夏の終わりを感じつつも、湿度は高くまだまだ暑いと感じる日は続きそうだ。これまでにない暑さに苦労しつつも、どうにか夏を楽しもうとする消費者の行動に今後も注視していきたい。

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