コラム・調査レポート

2019.04.1

食品

第三のビール、新商品を積極買い

 第三のビール市場で新商品の活況が続いている。
 昨年発売のキリンビール「本麒麟」、一月発売のアサヒビール「極上〈キレ味〉」、二月発売のサントリー「金麦ゴールド・ラガー」など、各社の新商品発売が相次ぎビール系市場をけん引する存在となっている。
 日経POS情報で全国のスーパーの売り上げを見ると、ビールや発泡酒、第三のビールをあわせたビール系市場は、第三のビールである「発泡酒風飲料」に軍配があがる。ビール系市場に占める「発泡酒風飲料」のシェアは40%超えで、2月には49%と半数に迫り圧倒的だ。
 市場をけん引したのが新商品の存在だ。サントリー「金麦ゴールド・ラガー」を例に消費者の反応を見てみよう。
 「金麦」ブランドの2月、全国のスーパーの千人当たり金額は前年比20%と大幅増の5026.7円。「ゴールド・ラガー」の発売が大きく貢献した。
 売り上げの詳細を見ると、通常、新商品は1缶売りで味を試してから、パックのまとめ買いへと移行する。しかし「ゴールド・ラガー」は発売初週から6缶パックの売り上げが最も高かった。2月の平均価格は税抜き595.4円と1本100円未満だ。金麦ブランドへの安心感や、手頃な価格が後押ししたのか、消費者は最初から抵抗なくパック買いをしたことがわかる。
 さらに注目すべきは、発売翌週には350ML1缶の売り上げを24缶ケースが抜いたことだ。その後も「ゴールド・ラガー」24缶ケースはブランド内で6缶パックに続く2位を維持している。発売1カ月にして早くもケース買いが定着し、多くのリピーターを獲得したと言えそうだ。
第三のビール、新商品を積極買い
 「ゴールド・ラガー」はビールに近いコクのある味わいが特徴。第三の ビールにもビールのような飲みごたえのある味を求める需要の高まりに応えたという。ビールか発泡酒か、はたまた第三のビールか。そういったカテゴリーでの選択よりも、第三のビールの中でどんな商品を選択するのか、どの味やブランドが好みなのかに消費者の選択は変わってきている。
 活況の市場だが消費増税や酒税改革など、今後、売り上げにマイナスに作用する変化が長期に渡り待ちかまえる厳しい側面もある。いまのうちに、固定ファンを確立したい各社の意図は明白で攻勢は一層激しさを増す。

サービスに関するお問い合わせ、
御見積りやデモ、
資料請求ご希望の方はこちら