コラム・調査レポート

2024.11.29

食品

日本列島 おでん勢力図

日本列島 おでん勢力図
 やっと「寒いね」と言える日が続くようになった。各地のスキー場ではスノーマシンが稼働し、オープン日の見通しも少しずつ立ち始めた。暖かい日が多かった印象のある11月だが7~9、19~21日も、日次の平均気温(東京)が平年を下回った。日経POSでこの期間の週次データをみてみると、「鍋つゆ」「おでんセット」の売上げが伸びており、特に寒さの深まった18日週に「鍋つゆ」は前週比23%増、「おでんセット」は24%増とどちらも勢いを増している。今回は例年11月からがシーズンのピークとなるおでんによく使われる食材について、地域差に注目してデータをみてみよう。
日本列島 おでん勢力図
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 「水産練り製品・揚げ物」はバラエティが豊かでだしに深みも与えるおでんに欠かせないカテゴリーのひとつだ。紀文「魚河岸あげ プレーン」は、全国ランキングで売り上げ1位となっている商品だが、地域別にみると関東外郭、首都圏で主に売れている。白身魚のすり身と豆腐を合わせた「はんぺん」のようなフワフワな食感で、1985年の発売から約40年のロングセラーだ。ちなみに「はんぺん」は北陸で最も売上げが大きく、関東外郭、首都圏が続く。
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 「大分類「水産練り製品・揚げ物」で最も商品数の多い小分類のさつま揚げは、刻み野菜を混ぜ込んだ丸型のもの、イカやウインナーを巻き込んだ棒状のものなど種類が豊富で、ご当地ものも多い。その中でも「ごぼう天」は最も地域差が明確である。カネテツデリカフーズ「料理素材 ごぼう天」を見てみると、近畿での売上げが圧倒的に高いことがわかる。他メーカーの「ごぼう天」も同傾向で、他地域への広がりがあっても中国、四国まで、わずかながら中京、首都圏で売れるにとどまっている。
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 「おでん種(すじ)」は全国に広がりがあるものの、主に中国、九州で定番となっているようだ。このカテゴリーには味付けをしたもの、味付けなしのものの2種類があるが、地域により売れるタイプが違っている。商品ごとのランキングをみてみると、中国、九州では上位5位がすべて味付けなしタイプ、関東外郭から北海道までの東日本エリアでは5位までのうち少なくとも4商品が味付けタイプとなっていた。
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 その他「ちくわぶ」は首都圏、関東外郭を中心に東日本、「おでん用昆布」も一見、全国的な定番具材のようだが北海道を除く東日本エリアが売り上げのほとんどを占める。
日本列島 おでん勢力図
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 一方で、餅が中に入った油揚げである「きんちゃく」は全国的に安定して売れている。近畿、中国、四国、北陸の数字が目立つが、ここまでで挙げてきた具材のように大きな地域差がない。こんにゃくや厚揚げほどではないが、いずれの地域でも好まれる具材のようだ。
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 取り上げた商品すべてがおでんに使われているわけではないが、地域ごとの特色が見てとれた。マスメディアやSNSなどにより情報が均一化しても、その土地に住む人々の感覚が作り出す地域性は残る。この冬は、季節ならではの味わいを楽しみつつ、食文化の違いに思いをはせてみるのはいかがだろうか。
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