コラム・調査レポート
2024.11.1
食品
大豆ミート市場に再注目 植物性食品の未来を探る
植物由来の原材料を使用したプラントベースフードは、肉や魚、近年ではチーズなどの乳製品の代替食品が製造・販売されすそ野を広げ続けている。その中でも代表的なのは大豆を使用した製品で、スーパーの店頭や飲食店のメニューに「大豆ミート」という言葉を目にすることも珍しくはない。
日経POSで大豆を原料とした製品の多くが含まれる「大豆たんぱく食品」の売り上げ推移を見てみると、2020年4月に急上昇した後、2022年6月まで大きく伸長し続けている。この時期はコロナ禍の影響から健康意識が高まっていた期間ということもあり、アイテム数も売り上げ増に伴って伸びておりメーカー各社からも注目度が高かったことがうかがえる。
日経POSで大豆を原料とした製品の多くが含まれる「大豆たんぱく食品」の売り上げ推移を見てみると、2020年4月に急上昇した後、2022年6月まで大きく伸長し続けている。この時期はコロナ禍の影響から健康意識が高まっていた期間ということもあり、アイテム数も売り上げ増に伴って伸びておりメーカー各社からも注目度が高かったことがうかがえる。
2021年10月~2022年9月の年間ランキングをみてみると、上位には人気メニューの原料を肉から大豆に変えた商品が並んでいた。まさに肉の代替食品として活躍していた姿が見てとれる。プラントベースフードはSDGsの観点からも世界的に注目度が高まっており、日本でもマーケットが拡大することが期待されていた。
しかし2022年6月以降、売り上げは徐々に下がりはじめる。2024年9月の千人当り金額は113円で前年比27%減、アイテム数も26%減となった。日本ではベジタリアン、ヴィーガンなどの文化が浸透していないこともあり、大豆ミートでないと食べられない消費者はさほど多くない。さらにコロナ禍の終息とともに健康意識も日常を取り戻し、肉の代替食品としてはあまり広がりが持てなかったようだ。
2023年10月~2024年9月の年間ランキングをみてみると、上位5位には糖質やコレステロールを控えたい人向けの商品であるアサヒコ「トーフプロテイン 豆腐バー」のシリーズが3商品入っており、2年前とは様子が変わっている。日本の消費者がプラントベースフードを選ぶ理由は「ヘルシー志向」に重点が置かれ始めているようである。
一方で、売り上げが伸びていないながらもランキング上位には「ナゲット」「メンチカツ」が残っている。これらのメニューはそもそも肉の食感ではなく風味を重視していることもあり、大豆ミートで代替しても違和感がない。メニューにより向き、不向きが明らかになってきたようだ。また、植物性食品の普及を目指し2021年にパソナ、カゴメ、不二製油ほか食品メーカー各社が一般社団法人プラントベース ライフスタイル ラボを設立するなど、カテゴリーへの注目度が落ちているわけではない。「レトルトパスタソース」「レトルトカレー」には、大豆ミートを使用した商品が増えつつあり売り上げ規模はまだ小さいながら支持者を増やしつつある。
日本には豆腐やおからを使ったメニューが伝統食としてあり、大豆をアレンジした食品にはそもそもなじみが深い。こうした文化的背景がある日本では、肉の代替食品というよりも別のカテゴリーとして広まっていくことも考えられる。今後のプラントベースフードの展開に引き続き注視していきたい。
日本には豆腐やおからを使ったメニューが伝統食としてあり、大豆をアレンジした食品にはそもそもなじみが深い。こうした文化的背景がある日本では、肉の代替食品というよりも別のカテゴリーとして広まっていくことも考えられる。今後のプラントベースフードの展開に引き続き注視していきたい。