コラム・調査レポート

2019.11.15

消費財

台風19号に学ぶ、災害駆け込み消費の数字

台風19号から1カ月経ち被害の全容が明らかになりつつあるが、日経POSデータでも当時の消費模様が見えてきた。
POSEYES「市場・新商品情報」メニューから「伸びる市場・縮む市場」を見ると、10月は水、畜肉缶詰、即席食品、即席カップめん、電池など備蓄関連のカテゴリーが大きく伸びた。
前もって注意喚起するニュースも多く、事前の備えが促されたことに加え、店舗自体を休店にする対応も多かったため直前の駆け込みが加速したようだ。
台風が猛威をふるった10月7日週とその前後の動向をPOSEYESでみてみよう。備蓄関連のカテゴリーとして即席カップめん、即席食品、水産缶詰、畜肉缶詰、水、電池の販売額をみると、総計で千人当たり金額64,925.1円、前年同期比伸び率は97.2%にのぼった。
販売額断トツのトップは即席カップめんで、前年同期比伸び率85.6% 千人当たり金額25,183.8円。前年同期比伸び率のトップは電池でなんと342.7%となり、千人当たり金額は10,400.1円となった。他カテゴリーも同様で、伸び率が一番小さかった水産缶詰でも42.9%となっている。多くの店で品切れを起こしたことが推測でき、店に駆け付けからっぽになった棚に唖然とした消費者も多かったのではないか。
次に特売金額比率をみてみよう。各収録店舗別に通常価格よりもある程度以上安く売られた時の販売金額を「特売金額」として集計しており、販売金額総額のうち特売金額の占める比率を特売金額比率として算出している。つまりこの値が高ければ安売りでの売り上げが大きく、小さければ値下げをしなくても売れる状況といえる。
10月7日週の特売金額比率はどのカテゴリーも総じて小さく、備蓄関連カテゴリー総販売額のうち53.2%、直近(11月4日週)までの26週間で最小となった。駆け込み需要と供給のバランスから定価を維持して販売した店舗が多かったことがわかる。
最後に地域別に備蓄関連カテゴリー総販売額と降水量の関係をみると強い相関があることがわかる。危険の度合いと災害駆け込み消費の額は関係していたと言えるだろう。
今後も自然災害の増加が見込まれる中、駆け込み消費にどの程度のボリュームで備えたらいいのか。今回の数値をひとつの参考目安としておくことができるだろう。

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