コラム・調査レポート

2023.04.12

食品

卵の店頭価格、前年比37.2%増。まだ耐えられる範囲内?

 高病原性鳥インフルエンザに加えて飼料の価格高騰も重なり、鶏卵の供給不足や値上げが続いている。外食業界でも卵を使ったメニューを休止する動きが広がる。日々の買い物に目を移しても卵売り場の変化は大きく、安売りの目玉から消え、品薄状態や見たことのない価格付けに驚くことも多い。
 日経POS情報で全国のスーパーでの「生鮮卵」の動向を見てみよう。
卵の店頭価格、前年比37.2%増。まだ耐えられる範囲内?
 まず店頭価格だが、国内で鳥インフルエンザが確認された2022年9月以降、生鮮卵の平均価格は8カ月連続で前年増となり、23年に入ってからは二桁増が続く。直近の3月は37.2%増の234.0円。ついに200円台を突破し過去例を見ない高騰となっている。
 店頭価格の上昇に伴って買い控えはおきているのか? 売上の個数をみると千人当たり販売個数は今年に入ってから前年割れしているものの小幅な動きだ。今年最大の下げ幅となった3月も前年比▲3.8%程度にとどまっている。毎日の食卓への登場頻度も高く、メニューの幅も広い。冷蔵庫に卵を切らさない家庭は多いだろう。現在の価格では多少ためらうものの、まだ大幅な買い控えを決断する段階ではないようだ。
 その結果、生鮮卵の売り上げは堅調だ。千人当たり販売金額は昨年12月以降、二桁増が続き、3月は前年同月比32.0%増。売上ランキング1位の「全国たまご 卵 白 10個」の動向をみると、さらにその傾向は強く現れ、3月の平均価格は前年同月比58.2%増、千人当たり金額は同44.5%増と大幅に伸びた。
 POSデータだけでは原材料費が読めないため収益改善につながっているかは判別できないが、少なくとも消費者にとって現在の値付けは苦しいながらまだ耐えられる範囲内にとどまっているとみてよさそうだ。ただ上昇はとどまらず幅も拡大している。生産者、消費者ともに限界はどこで来るのか?値付け、原材料費、売上と数字を注視していく必要がある。

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