コラム・調査レポート

2017.04.21

食品

制定から2年。「ジャムの日」は消費拡大の機となるか

 ジャム市場(商品分類:171)がこの2年で徐々に拡大し、さらなる成長が期待されている。日経POSデータでジャム分類全体(全国)を見てみると、2016年度(2016年4月~2017年3月)の千人当り金額は平均2,271.3円で、2015年度(2015年4月~2016年3月)の平均2,220.9円と比べて約2%伸びた。
 月別データでは毎年4月の千人当り金額の伸びが影響しているようだ。昨年4月のABCランキングデータを見ると、1位のアヲハタ「まるごと果実 いちご 255G(商品コード:4562452230016)」はカバー率も87.5%と前月に比べて約4%上昇している。分類全体のアイテム数も、年々増加傾向にある。
 背景には、2015年4月20日に制定された「ジャムの日」の影響が考えられる。
 「ジャムの日」とはジャムそのものの露出を高めて魅力を伝え、消費を拡大することを目的として日本ジャム工業組合が制定した。ちょうど昨日で2周年目を迎える。
 制定後、もっとも伸びが著しいのが先述のアヲハタ「まるごと果実 いちご 255G(商品コード:4562452230016)」だ。2017年3月の同商品の千人当り金額(102.7円)は2015年4月(77円)と比べて約33%大きく伸長した。2017年3月の地域比較データをみると、主に九州地方での購入比率が全国に比べて約71%も高い。同社の主力原料のいちごは、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センターと共同で品種開発をしており、病気に強い特性を有するという。地元の強みを活かして九州地方でのマーケティングに力を入れ、消費者に受け入れられているようだ。
 「ジャムの日」が市場拡大のきっかけとみられるものの、まだメディアへの露出はそれほど多くない。同組合では日本のジャム発祥にゆかりのある小諸市で「ジャムの日」に係わるリアルなイベントを開催するなどして消費者への認知拡大に取り組んでいるが、ジャムの需要拡大を牽引するためにはさらなる認知拡大への取り組みが必要だろう。今後のジャム市場の行方に注目したい。

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