コラム・調査レポート

2017.07.31

食品

「カールショック」検証

 明治が「カール」の中部地域以東での販売終了を発表した、いわゆる「カールショック」から2カ月。8月の生産分をもって全国販売から関西以西地域への販売へと切り替えられる。その8月を前に、消費者は実際にどんな購買行動に出たのか。「カールショック」を検証してみよう。
 明治が「「カール」シリーズの販売地域変更などに関するお知らせ」を発表したのが5月25日。発表直後からテレビなどマスメディアでも数多く取り上げられ、店舗での買い占めや、インターネット上の個人取引で高額で売買されるなど、おおいに世間をにぎわせた。
 全国のスーパーで「カール」ブランド全体の売り上げを見ると、それまで200円前後で推移していた千人当り金額は5月22日週には550円、翌29日週には589円と倍増している。消費者が発表を聞き、買いだめに走ったようすがうかがえる。

「カール」売り上げ (日経収集全スーパー)        (千人当り金額 円)

「カールショック」検証
 平均価格を見ると、小売り側も「カールショック」に迅速に対応したことがわかる。前週までの平均価格は90円前後だったのに対し、5月22日週に96.0 円、翌29日週には96.4 円、6月5日週は98.1円と急騰した。急上昇した需要に対し、効果的に根付けを変える施策をとったことが推測できる。
 主力商品「カール チーズあじ64G」の売り上げを地域別に見ると、中京圏、関東外郭、首都圏の順で高く、販売終了の地域で需要が拡大した。
 しかし、売り上げは「カールショック」から2週目の5月29日週をピークに下降の一途をたどり、直近の7月17日週に若干盛り返し千人当り金額276円となったものの、「ショック」前を若干上回る水準に落ち着いている。インターネット上では復活販売を期待する声も多く寄せられたが、カバー率も下がり購入できる店舗も減ったこともあり「ショック」は全国販売が終了する、8月の生産分を待たずに1カ月程度で収束したようだ。
 カール不振の要因は若者への訴求を怠ったこと、そしてコンビニエンスストアが消費の主導権を握る中、売り場の棚でかさばるパッケージが敬遠されたことなどがあげられる。1999年全盛期には900円を超える千人当り金額を誇った「明治 カール」。一ファンとしても寂しい限りだが、老舗ブランドの盛衰から学ぶことは大きい。

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