コラム・調査レポート

2025.01.30

食品

健康意識は変わった?POSデータで現在地を探す

健康意識は変わった?POSデータで現在地を探す
 体重減を目的とした「ダイエット」は、長年にわたり価値が認められてきた。健康意識が近年で最も高まったコロナ禍を受け機運が盛り上がったが、これまでと違ったのは同時にウィルスから身体を守るため「体力の向上」も同時に考える必要に迫られていたことだ。「ダイエット」を実現することを示す指標が、体重や見た目だけでなく、その他の健康的な身体作りに必要な要素も取り入れ進化したようだ。

 日経テレコン「新聞トレンド」で新聞・雑誌への出現数を3つの言葉でみてみると、コロナ禍前から減りつつあった「ダイエット」が、2020年に「免疫力」への注目度が高まり大きく引き離された。のちに2019年の水準に戻ったものの、以前ほどの勢いはないままとなっている。「免疫力」も2021年に早々と盛り上がりが消え、メディアでの露出度は元の水準に戻っている。一方で「筋トレ」はこの10年は堅調で「ダイエット」の出現数に迫りつつある。
健康意識は変わった?POSデータで現在地を探す
 コロナ禍を機に、日本の健康意識は単に体重を減らすことから、適切な栄養摂取と適度な運動をする方へ関心が変わりつつある――。この仮説が成り立つかどうか、日経POSで関連カテゴリーの状況をみてみよう。

 近年、耳にすることの多かったダイエット目的の糖質制限(低糖質)は、各メーカーの商品開発にも大きな影響を与えた。糖質を抑えた商品は「即席カップめん」「チョコレート」「菓子パン・蒸しパン」で多いようだ。商品名に「低糖質」「糖質オフ」「ロカボ(ローカーボ)」を含むものを抽出すると、2020年から好調だったものの、2022年後半以降は売上げが上下しつつも全体的には下降傾向となっている。また、中華麺、パスタなどの代替食品として活躍する「コンニャクめん」、「低カロリー甘味料」も液体、粉末・固形ともに売上げは減少傾向だ。
健康意識は変わった?POSデータで現在地を探す
 同じ「低」でも「低脂肪」は好調なようで、「低脂肪牛乳・無脂肪牛乳」「プレーンヨーグルト(低脂肪・無脂肪)」は直近5年間で大きな変化はなく堅調に推移している。健康管理の観点からだけでなく、さっぱりした味を好む人からも選ばれていることも背景にありそうだ。

 糖質をコントロールするという方法はいつから一般的になったのだろうか。新聞トレンドでみる限りでは「糖質制限」の出現数が急増する2012年にひとつの節目がありそうだ。最も多いのは2015年後半から2017年あたりで、それ以降は減り続けている。ダイエットや健康への意識の変化とともに、新聞や雑誌で見かける回数も減り、消費者の関心が薄れていく様子がみてとれる。
健康意識は変わった?POSデータで現在地を探す
 その一方で、「栄養補給ドリンク」など足りない栄養を補うことで体調を整える商品は、好調のようだ。「栄養補給錠剤・錠菓」の商品別ランキングをみてみると、この5年間で体脂肪のコントロールから、関節のケアや視力の改善などへと関心が年々移り変わっていることがわかる。コロナ禍後、日常生活が戻り行動量が増えるにつれ、身体の活動を助ける商品が必要とされてきたのではないだろうか。また「おうちごはん」の機会が減ったことによる栄養の偏りへの意識もありそうだ。
健康意識は変わった?POSデータで現在地を探す
 「健康日本21(第二次)」(厚生労働省)の報告書によると、健康寿命は延びているものの食生活や運動・睡眠などの生活習慣は改善の余地があるという。消費者が健康に関する情報をどう解釈し、どう変化していくのか、今後も注視していきたい。
健康意識は変わった?POSデータで現在地を探す

サービスに関するお問い合わせ、
御見積りやデモ、
資料請求ご希望の方はこちら