コラム・調査レポート
2025.01.16
食品
年末年始、何を食べてた?~POSデータで探る
12月23日~12月29日:クリスマス期間 手軽さと特別感が共存
12月23日週は、学校も冬休みに入り、クリスマスパーティーや仕事納めなど行事が盛りだくさんの1週間だった。この期間で大きく売り上げを伸ばしたのは「チルドピザ」である。日次でみると24日が売り上げのピークとなっており、加熱するだけで食べられる手軽さからか平日のパーティーメニューとして多くの人に選ばれたようだ。上位10位を商品別に見てみると、1位の日本ハム「石窯工房 マルゲリータ」のほか、4商品がマルゲリータのピザとなっておりランキングの半数を占めた。また、ソーセージピザも3商品ランクインし、幅広い年齢層が楽しめる味が支持されていることが分かる。
12月30日~1月5日:年末年始 和の料理で迎える特別な時間
12月30日週は、大晦日やお正月に向けた料理が主役となる。この時期、「鍋つゆ」の売り上げが例年通りピークとなったが、特に「すき焼き用割り下」が大きく伸びた。「焼き肉のたれ」も伸びてはいるが、ゴールデンウィークやお盆期間のほうが売り上げは高い。「すき焼き用割り下」の5年間の売り上げを月次でみてみると、コロナ禍が本格的に終息した2023年以降で売り上げが大幅に伸びており、年末年始に人々が集まるという日常が戻ったことが推測できそうだ。
デザートには「パーソナルプレミアムアイス」や「ホームタイププレミアムアイス」が選ばれているようだ。千人当り金額でいえば「レギュラーアイス」のほうが売り上げは大きいものの、この期間は普段より少し贅沢な商品を選ぶ傾向が強くなるようだ。
日本の年末年始を彩る食卓のトレンド
今回はパーティー、宴会料理に注目してデータを取り上げたが、もちろん12月23日週には「板かまぼこ」や「干しシイタケ」などおせち料理に使う伝統食材も売り上げを大きく伸ばしている。POSデータから、クリスマスには洋風、年末年始には和風料理と、当たり前のように使い分ける日本人の変わり身の早さが垣間見えた。また、ピザやすき焼きのように手間が少ない一方で、食卓の主役となる料理が選ばれている点も特徴的である。作り手の負担を軽減しつつ、家族や友人全員で楽しむことを大切にしているさまが見てとれる。
ちょっとした贅沢とアイデアで日々を心豊かなものとし、大切な人との時間を楽しもうと工夫する姿は非常に魅力的である。そんな日本の食卓に今年もますます注視していきたい。