コラム・調査レポート

2019.02.7

家庭用品

インフルとともに急拡大「皮膚洗浄剤」市場

 2月1日厚生労働省は、1月21~27日のインフルエンザ患者数が1医療機関当たり57.09人と、1999年の調査開始以来、最多となったと発表した。全都道府県で警報を出す基準(30人超)となり、この1週間で受診した患者数は推計で約222万6千人にのぼると見られる。
 このインフルエンザの流行とともに急拡大しているのが「皮膚洗浄剤」市場だ。
 「皮膚洗浄剤」とは、健栄製薬「手ピカジェル」や、花王「ビオレU手指の消毒スプレー」などに代表される、速乾性の消毒用アルコール剤で手に刷り込んで使用する。
 日経POS情報で1月の「皮膚洗浄剤」市場動向を見てみよう。主戦場のドラックストアは1月の集計は完了していないので1月27日までの4週間を暫定値として前年と比べると、全国の千人当たり金額は937.2円、前年同月比16.9%と2桁増となった。スーパーの動向に目を移すと全国の千人当たり金額205.3円とドラッグストアの売り上げには劣るものの、前年同月比70.2%と伸び率では大幅に上回っている。「皮膚洗浄剤」がスーパーへも進出してきており、日々の買い物の中で手に取る商品へと変わってきていることがわかる。
インフルとともに急拡大「皮膚洗浄剤」市場
 さらに詳細に週次データを追うと、患者数が過去最多となった1月21日の千人当たり金額は、ドラックストアで前週比18.8%増の1224.6円、スーパーでは同25.0%の282.4円といずれもこの週に急拡大している。インフルエンザの流行と連動する「皮膚洗浄剤」市場の様子が見えてくる。
 スーパーを例に地域別で1月21日の週の売り上げを見ると、1位は東北で千人当たり金額445.9円、2位は首都圏で同364.1円、3位は中京で同353.3円、近畿、関東外郭が続く。厚生労働省発表の地域別患者数は埼玉県(84.09)、新潟県(77.70)、千葉県(73.00)の順に多く、宮城県、神奈川県、栃木県と続き、連動が見られるようだ。
 伸び率の大きいスーパーでの売れ筋は、健栄製薬「手ピカジェル」ブランドで1月のトップ4を占めている。なかでもより除菌力が高い「手ピカジェル プラス」が人気で、300MLが1位、60MLが4位となっており、消費者がより強力なものを求め、また家の中用、携帯用と用途ごとに購入し、いつでも使えるよう常備する様子がうかがえる。一方、極端に消費が冬に偏るのも業界の悩みだ。この冬、手に取った消費者をその後もどうつなぎとめるか。各社の戦略が注目される。

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